グラフィックデザイナーに必要な画力は?デッサン練習の必要性を真剣に考えてみる。

DESIGN
  • グラフィックデザイナーは絵が下手でもなれる?
  • デザイン力を高める為に、デッサンの練習は必須?
  • デザイナーは絵でも稼げれば収入の幅が広がるのでは?

こんな疑問にお答えしてみます。

ドーモ!tatsumoです。
この記事を書いている私は、デザイナー歴7年の現役グラフィックデザイナー。
田舎町でフリーランスのグラフィックデザイナーとして生計を立てています。
なぜわざわざ田舎でデザイナーやるのか?コチラも記事もぜひ↓

グラフィックデザイナーになるため絵を描ける必要はない。

結論から言うと、グラフィックデザイナーには絵描き並の画力は必要ないです。

デザイナーの仕事の本領は、色やカタチを整えることにとどまらず、世の中の課題に対して良い解決策を提案する仕事です。デザイナーはいわば全体のコーディネーターなので、写真やイラストが必要な時は、あなたが絵が描けなくても専門家に任せる、素材を購入するのが良い解決法です。

実際に、私もデッサンを猛勉強したことも無いですし、私の友人のグラフィックデザイナーも絵が苦手だと言う理由でいきなりイラレでカンプを作り出す人がいます。

腕力がないけどプロレスラーになれますか?という質問だったら間違いなくNOです。
そんな人見たことが無いので、体鍛えたほうがいいよと言わざる得ないですが、
絵が描けなくてもデザイナーになれますかという質問だったらYESです。
実際に絵が苦手なグラフィックデザイナーは結構いるからです。

“生半可な画力”はデメリットになることも。

むしろ「器用貧乏になる」可能性が高いです。
特に田舎では多いケースなのですが、予算が少ないと言う理由で、デザイナー自らがイラストを書いたりパンフレットの挿絵を書いたりするのをよく見かけます。

中途半端な画力だと、自信のなさから安請け合いしてしまうこともあると思います。
それが常態化してしまうと、クライアントにとってそれが「普通」だと思われてしまいます。ギャラが見合わない案件の依頼があったとしても、

うーん安いな。。でもまぁ、今は手が空いているし、自分がイラスト描けばいっか!

と依頼を受けてしまい、時間はかかるはギャラは少ないわで、THE器用貧乏ルートを進んでしまいがちです。
その上中途半端な画力で描いたイラストを使用して制作した成果物は、ポートフォリオに入れる作品としてもクオリティの弱いものになってしまう可能性もあります。

中途半端なスキルになってしまう可能性がある

絵描きとしても稼げれば収入の幅が広がるじゃん!

↑↑のような思考で、イラストの勉強を今から始める方もいると思いますが、それ自体プラスなことなので良いと思いますが、違う視点も持っておきたいです。
あなたがデザイナーと言うポジションに軸足を置いている以上、今から絵を描くことを勉強しても本職のイラストレーターにスキルでは敵わないはず。

ならば、プログラミングやウェブマーケターのスキルのように、イラストを磨くよりも高単価が狙えるスキルを学んだほうがメリットが大きいかもしれないです。

実体験で言うと、イラストはクライアントの要望によってタッチを変えたり、修正に時間がかかったり、一度描いたイラストを他へ流用するのが難しいコンテンツですが、プログラミングはコードを移植したり転用できるので今までの知識が蓄積されやすいのです。

結局のところデザイナーを目指すのであれば、デザイナーのポジションを突き詰めて、安請け合いの何でも屋さんになることは切り捨てて、ディレクターのポジションを目指すのが長期的に見て収入を上げやすいと思います。

伝えるツールとしての画力は有用

とはいえ、自分の頭の中にあるデザインプランをチーム内で正確に共有するためには、伝える能力がとても重要になってきます。特にアートディレクターなどプロジェクトを指揮する立場になれば尚更です。

その際、絵で説明できたりするとクライアントやチーム内でアイデアを共有するためのコミュニケーションが円滑になります。「伝えるためのスケッチ」くらいは描けておくと重宝します。

↑チラシのラフだったらこんな程度でも良いと思います。大事なのは絵がうまいかよりも、全体としての伝え方のツボを抑えているかと言うことがデザイナー的能力です。

デザイン業界の高みを目指すならデッサン力は必要。

デザイナーになるには画力必要ないんだ!と豪語してきましたが、あなたがデザイン業界の一線級のデザイナーを目指すのであれば話は別です。

例外はあれど、デザイン業界で活躍しているデザイナーの多くは有名美大出身です。
実際に大手広告代理店や競争率の高いデザイン会社に入社する際、有名美大を卒業している方が圧倒的に有利ですし、言うなれば正規ルートです。

多摩美術大学、武蔵野美術大学、東京藝術大学のような美大への入学を目指すとなると、受験でデッサン実技が必須となっています。

美術部でガンガン絵を描いてきた人たちがライバルとなるので、デッサンは鬼のように練習することになります。結果的にスケッチのレベルは必然的に上がっています。

デッサン力で身につくこと

じゃあなぜ、皆デッサンを練習するのか?その理由を私の中ではこう思っています。
デッサンの練習では、特に以下のスキルが身につきやすいからではないかと思います↓

  • 観察眼が磨かれる
  • レイアウト力が磨かれる
  • 審美性が磨かれる

詳しく説明します。

観察眼が磨かれる

例えば、「りんごを描く」とお題を出されたとします。
多分、絵心の全くない人は、りんごを描く時に、何も考えずに赤く塗るんだと思います。

しかし、世の中に新しい価値観を提供する立場のデザイナーが、「リンゴ描くぞ=じゃあ赤で塗ろう。」的な大凡的な感覚でいたら心配になりますよね。

良いデザイナーは、常識に固執せず、常に世の中の「当たり前」を疑っていくための「観察眼」を持っているからこそ、人をハッっとさせるアイデアが生みだせるのでは無いでしょうか。

いやりんごって赤いけど、よくみたら細かい斑点があったり、上下に向かって黄緑っぽい繊維の跡がある。触ったら意外と皮がヌメってしている質感があるから光の反射が少し鈍い感じだよなぁ。

などの一つの物事の真理を追求する観察眼が、デッサンでは養われます。

私の大好きな本「ここらで広告コピーの本当の話をします。」の中で、著者の小霜 和也さんの「コピーは足でかけ!」という言葉があるのですが、これにも共通する話で、一般常識や既成概念で物事を捉えず、足を動かして徹底的に調査して自分の目で捉え、感じたものを形にする。これはクリエイティブな仕事に共通することだと思います。

レイアウト力も伸びる。

レイアウト力を上げる確実な方法は、やはり自分自身で試行錯誤しながらものづくりをして感覚を矯正していくのが地道ですが着実なルートです。

りんごをどう配置したら果物の生々しさを映せるだろうか、どの部分を際立たせてどの部分の存在を消すか、一緒に添えるモチーフは何がいいだろうか、この1シーンはどう言うストーリーだろうか。。

考えながら手を動かしまくる反復作業の末、レイアウトの引き出し、バランス感覚が洗練されていきます。

審美眼も鍛えられる。

デッサンを学校で習うと先生に論評をしてもらえます。いろんな生徒のデッサンと比べられ、中には優秀だと褒められる生徒もいるしこき下ろされる人もいるでしょう。有名な画家のお手本を見ながら座学を受ける時間もあるのだと思います。

数々のお手本を真似る過程で、良し悪しを知り、膨大な比較の中で、自分の審美眼が矯正されていきます。

色々書きましたが、デッサン練習はとても理にかなった”美的感性を磨く方法”の一つであることは間違い無いです。実体験ですが、毎日15分程度でも効果が見込めます。

絵が描ける目的でのデッサン力は必要ないけど、最低限観察力と審美眼を磨くための「練習」としてのデッサンはやる価値があると思います。

とはいえ、美的感性を磨く方法は他にもあります。
美術館に通う習慣を身につける、写真を取りながら構図を研究するなど・・・
あなたに合った積み上げ方で問題ないです。

【まとめ】画力がないなら+1のスキルを磨く。

もちろん絵は描けないよりも描けた方がいいに決まっています。しかし、何でもできるスーパーな人ばかりではないでしょう。

限られた自分のリソースをどこに注力するのか。
デザイナーとしてのパラメーターをどう作るか、と言う視点で考えるべきです。

絵が描けなくてデザイナーとして活躍している人は結構います。
しかし、その友人は絵が描けない分、デジタルでの表現力に長けていたりコミュニケーション能力が高かったりするんですよね。

絵が得意でないデザイナーは、その分他に特技を持っていることが多い。

    • プログラミングができたり
    • コピーを描くのが上手だったり
    • マーケティングに精通していたり
    • 写真家でもあったり・・・etc…

結局は、自分の付加価値をどう作っていくかということに尽きると思います。

私もグラフィックデザイナーとしての自分の力量に不安だった頃、付加価値を付けたくてプログラミング学習をしました。テックアカデミーのwordpressコースです。

このスキルはフリーで稼ぐことにおいてホントに取得して良かったと思っています。

あなたの+1スキルは何を選びますか?

「これはやらなくてはダメだ!」と言う固定観念には一旦置いといて、自分の想像するキャリアアップの助けになるであろうスキルの習得を選択したいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました!