底辺デザイナーは、田舎で独立しよう。【現役デザイナーがメリット語ります。】

DESIGN

ドーモ!tatsumoです!
(タイトル煽り気味ですみません。)

田舎町でフリーランスのグラフィックデザイナーとして生計を立てています。
元々はインハウスデザイナーをしていましたが、もっと色んなデザインがしたい&のんびり暮らしたいと思い立ち、4年前に東北の田舎に移住しました。

この記事はこんな方に向けて書いています。↓↓

  • 東京で消耗中。末端の仕事にうんざりしている。
  • クリエイティブな仕事は好きだけど、もっとマイペースでやりたい。
  • フリーランスとして独立したいけど自信がなさすぎて不安。

昔の私のような状況の方に参考になれば嬉しいです。

フリーランスを目指すなら、地方がおすすめ。

トップランカーのデザイナーや、自分のやりたいことを既にできているデザイナーは置いといて、

私のようにヒエラルキーの底辺に位置するデザイナーが、自分で舵をとりデザインできるようになるには、フリーランスになるのが最善のルートであるのは間違い無いでしょう。

  • ① フリーランスデザイナーが田舎に拠点を移すこと
  • ② 会社勤務デザイナーが、田舎でフリーランスとして開業すること

↑↑上記の2パターンは確実なメリットがあると感じています。
私の場合は②のパターンで成功しましたが、難易度で言えば①の方が易しいでしょう。

田舎で独立する主なメリットは以下の通り。

  • 競合がいない。
  • 仕事が十分にある。
  • とにかく楽しい。
  • ノマドワークでいいとこどり。

詳しく解説します。

競合が少ない。

デザイナーを含むクリエイター職種の数は、田舎に比べて都市圏の方が圧倒的に多いです。

都市部と地方におけるクリエイター職種の事業所数を比較した調査では、

【「大都市」(東京特別区と政令指定都市)】の方が、【「郡部の町村」】より人口1,000人当たりの事業所が(情報通信業においては)8.1倍多く、(学術研究,専門・技術サービス業においては)2.8倍多い。
参考:中小企業庁

とされています。

webコンテンツを制作するクリエイターなどは情報通信業に分類されると思いますが、
郡部の町村に比べて、事業所数が大都市では8倍以上になるとすると、やはり都市部に近づくほど競合が多いと感じます。

例えば、人口1,000人の町に自分1人しかwebデザイナーがいない状態と、8つのwebデザイナーがひしめいている状態とでは、地元仕事の受注数や収入も天と地ほどに差があると思います。
実績・スキルでも競わないと生き残れません。

私も東京で就活をしてきた経験がありますが、

  • 大都市は、働き口に対して基本的に定員が溢れているので、経験&スキルで他に勝たなければいけない競争社会。
  • 田舎では、「デザイナーって実際何?」っていうくらいクリエイターが少ないので、地域にうまく溶け込みさえすれば、かなりブルーオーシャンと言えそうです。

むしろ底辺デザイナーはチャンスがある。

どこでも活躍できるような売れっ子デザイナーだから、移住してもやっていけるんでしょ?

と思う方もいるかもしれませんが、違います。
自慢じゃないですが、私は底辺デザイナーですが田舎でやっていけています。

ほんとに自慢じゃないやん。。

逆に、考えてみてください。

私のように、教育機関でまともに習ったことのない、デザイン会社や大手広告代理店に勤めたこともない底辺デザイナーが、自分のやりたいデザインを形にできるようになるまで、一体何年かかるのでしょうか。

デザイン会社に入社した方であれば普通、下積みから始めて5-10年くらい経てば、AD(アートディレクション)等の仕切れるポジションを任されるのかもしれません。

じゃあ、下請け業務がほとんどのデザイナーで、「いつか自分のデザインができるように勉強だ!」と日々、積み上げしつつも、結局、業務のほとんどがDTP作業みたいなデザイナーは、そのチャンスは一体いつ来るんでしょうか?

「もう、来ないな」と思った私はライバルのいない地方に移住してフリーとして開業しました。

このように、待遇面で厳しい、作業の多く苦しい状況でもデザイン職を続けている人は本当にデザインが好きで情熱がありまくる人のはずです。
経験やスキルに自信がないからこそ、人一倍寄り添ってコミュニケーションを取れたり、丁寧に仕事に当たれたりするのではないでしょうか。田舎ではむしろこういう人が重宝される傾向があるのです。

田舎でフリーランスというのは、詰まるところ「自分に自信のないデザイナーのポジション戦略」です。

田舎は仕事がない?→全然あります。

結局のところ、田舎にクリエイターが少ないのは、
「誰も必要としていないからでしょ。」と、思う方もいるかもしれません。

しかしこれは間違いです。ニーズはメチャあるんです。

地方に行くほど中小企業、小小企業が多くなっていきます。
そして小さい会社は、人手が足りていません。
社長の奥さんが経理をやっていたり、営業と広報を兼任していたり、人手不足が目立ちます。

自社の商品開発やPRに力を入れたいけど、誰もできないから「おざなり」にされているという会社は実際たくさんあります。そのような会社は田舎で暮らすデザイナーの良いビジネスパートナーになると思います。

また、田舎は自然資源が豊富なところも多く、漁業、酪農・農業・など一次産業が盛んです。

これらの産業に携わる方は、ものづくりに関しては超一流ですが、PR、ブランディングなどの『発信力』は苦手で、常に悩んでいます。

  • 特別栽培の果物を売り出したい農家さん。
  • 牛乳のパッケージを一新したい酪農家さん。
  • ホームページやSNSなどに力をいれたことのない酒蔵さん。
デザインの力を求める生産者さんたちは、都市部よりもむしろ地方の方が多いのです。

田舎に暮らしていればそのようなニーズに触れ合う機会は嫌でも遭遇します。
あなたのデザインが活躍する場は田舎にたくさんあります。

また、地方では、広告代理店というものが少ないまたは無いので、デザイン関係の依頼は
地元の印刷会社が牛耳っている場合が多いです。

今まで地元印刷会社をひいきにしていた会社から、デザインと印刷込みの依頼を受けたことがありました。
ネット印刷を想定して見積もりを出したら、「こんなに安いんですか。」と驚かれたことがあるくらいです。

それだけでも価値を感じてもらえる世界なので、知識が豊富な都市部で揉まれている方ならかなりアドバンテージがあると思います。

そもそも現地の人は『頼み方がわからない』

田舎は競合がいない。ラッキー!どんどん地元の仕事を受けるぞ!

と張り切ってみても、向こうからホイホイ依頼がやってくるとは限りません。
なぜなら、

田舎では、デザインという仕事について、実はあまり知られていないからです。

知らないので依頼のしようもありません。

デザイナーと言えば 「チラシを作る人」とか、そんなイメージを持たれていればまだ良い方です。「なんだか、最近の人だね」で終わらせられることもあります。

最近の人て…30超えてますけどもェ。。。

デザインがどう役に立つのかを説くことが第一歩。

私が田舎に来てまず初めにやったのが、

  • デザイナーって何者?
  • デザイナーには何ができてどんな効果をもたらすのか
  • どうやって依頼するのか?
  • デザイナーの相場感

このようなことを現地の人に丁寧に教えていくことでした。

これは、大都市においては、デザイナーが社会に関わるのが普通すぎてあまりやる必要のなかったことかもしれません。しかし田舎に行けば行くほど、この地元の人に「知ってもらう」という工程が大切です。

最初のうちは、信頼関係づくりは地道で大変な作業かもしれませんが、このような働きかけは、その地域で今まで誰もやったことがないことだと思うので、一度信頼関係を築いて顧客を掴んでしまえば、市場はかなり独占できるはずです。

余談ですが、デザインについて見識の深い人が少ないが故に、たまに「東京のデザイン会社に丸投げ依頼する」ということが起きます。
依頼先がちゃんとした会社なら良いのですが、悪どいコンサルティング会社に半ばカモられるように見積もりを鵜呑みにしている地方自治体の例を何件も知っています。
それを防ぐ意味も込めて、デザインリテラシーを高めてもらうため、デザインというものについて共有すべきだと思っています。

田舎は稼ぎが少ない?→YES。しかし隠れたメリットも。

フリーランスになれば自分の価値は自分で決めます。
当然稼ぎはその人次第ということになりますが、

相場的には、依頼1件あたりの料金は都市部と比べて低くなる傾向があります。
都市部に比べると地方では会社の規模が小さいので、デザインにかけられる予算が少ないためです。

例えば、通常30万程度で請け負えるはずのwebサイト制作案件が、田舎では20万みたいになったとしてもおかしくはないです。

しかし、1案件に得られる利益が減るのと比例して、かかる経費・コストも減る場合多いです。

地方ではワリの良い仕事がないだろうと思っている方はなかなか気付いていないポイントかもしれません。

時給換算したら田舎の方が良いかも

理由 ① : プロジェクトの規模が小さいので、決裁に関わる人の数が少なくなりがち。

これにより、参加する人の数だけ発生するあの無意味な修正のオンパレードが少なくなります。

デザイナーあるあるだと思いますが、一度通ったデザイン案が、後から色んな上の人の意見が飛び出して、デザインにどんどん歪みが出てきて、なおかつ時間も大幅にロスするという例のあの無限地獄。

このリスクが軽減されるだけでデザイナーの皆さんはメリットを感じられるのではないでしょうか。

理由 ② : プロジェクトの期間が短い&外注クリエイターの人数が少ない。

予算が少ないので、納期も短くなりますし、外注にかけられる人件費も少なくなります。

人件費が減れば関わる人が減り、チームでの作業が少なく、データが待ちの待機時間やスケジューリングミスなどのヒューマンエラーのリスクも軽減が見込めます。

理由 ① : デザインにおおらか。

これは良い面として捉えると、田舎に行けば行くほど、デザインのクオリティに対してあまり深掘りされない。という傾向があります。

それ地域関係あるの?

と思いがちですが、デザインの感性・感度に地域差があるのは自然なことです。

一流のデザイン会社・広告代理店がしのぎを削る都市部で、いつも最高峰のビジュアルを目の当たりにしている人たちの方が当然目が肥えていますし、知識も豊富です。

デザインのクオリティに対する審査が厳しくなるのは当然です。
この点地方では、デザインのクオリティを突き詰めようとする文化があまりないという印象です。

かといって当然、手を抜くわけではないのですが、自分のデザインを通しやすいという意味で、ストレスもかなり軽減され、精神衛生上とても良いです。チェック要素が少ないので時間短縮にも繋がりますね。

上記の理由から、田舎の案件は1案件にかける予算は少ないが、それにかかるコストも同時に少ないので、個人的には、時間給に換算したら田舎の案件の方が割が良い時があると思っています。

仕事が面白くなる。

数年前の自分はこうでした。。

今日もオフィスで無言でカチカチ、カチカチ。

自分が使ったこともない、人に勧めたいかどうかもわからない商品のPRパンフを作る。
この商品、どんな人がこの商品を作っていて、どんな人が求めているかも知らない。

とりあえず、指示書通りに、作る。

どんな人が喜んでくれるんだろう?
自分のデザインの効果はどれほどあったのだろう?

そしてまた、指示書通りに、作り続ける。。

私が、インハウスデザイナーをやっている時、いつもこんなことを考えていました。
もしあなたが同じように感じているなら、ぜひ田舎にきてみて欲しいなと思います。

田舎の仕事は、依頼主との「出会い」から始まります。

その人にはどんなストーリーがあって、どんなこだわりを持っているのかを聞いていくと、やることが決まってきます。そして実際に足を運んで、自分で見て、食べて、触って感じたことをデザインします。

当初はパッケージのデザインだった依頼が、話が盛り上がりいつの間にか会社全体のブランディングの話になっていたり。時には、収穫を手伝ったり、直売所の売り子を手伝ったり。

デザイン以外の仕事もとても勉強になるし、クライアントと一緒に売上に悩んで、頭をひねって一緒に挑戦していくことの楽しさは、デザイナーをやっていて一番楽しい瞬間だと私は思っています。

以前のようにノルマをいくつこなしたからお金がもらえるのではなく、人の役に立って、その結晶がお金として帰ってくるという実感がとてもわきます。

そして、小さい町だと自分のデザインしたものの反響がダイレクトに伝わります。この繰り返しがさらに自分を成長させてくれると感じています。

地方移住を迷っていた「昔の自分」に言いたいことはこれにつきます。
→大都市ではあなたの代わりは腐る程いる。田舎ではあなたにしか出来ない仕事がある。

ノマドワークでいいとこどり。

デザイナーは、「アイデア」を主力商品とする仕事です。
形がないもので商売するビジネスならではのメリットがあります。

  • 開業の初期投資が少ない
  • 在庫リスクがない
  • 機材・設備が少なく済む
  • 実店舗がいらない

昨今、打ち合わせはzoom、ipadだけで仕事をしているデザイナーもいるくらいです。

そもそもクリエイター職は、どこにいても稼げる仕事なのです。

田舎に引っ越しても、今受注している都市部の仕事を継続してやってもいいし、クラウドソーシングで仕事受注しても良し。
収入を無理してあげなくても田舎に住めば自動的に生活費が下がるので、実質的に稼ぎは増えます。

大都市価格の報酬を得ながら生活水準を下げることが可能です。

この最大のメリットを利用しない手はない!(と、強気に言ってみる。)

余談ですが、デザイン事務所兼宿泊施設っていいなぁと考えています。
田舎だったら土地が安いし、ほとんどタダみたいな空き家もあるから(運用実現性は置いといて)この点でも田舎は有利なこともあるかなと思います。

まとめ

地域での暮らしは、肌に合うor合わない、確実にありますよね。

「田舎の風景が落ち着くとか、息を吸った時の緑の匂いがたまらなく好き」という人もいれば、
「大きな建物がないと不安になる」「ご近所付き合いが苦手」という人もいますよね。

田舎は、公共施設や商業施設の数が少なかったり、行政サービスが都市部に比べて手薄だったり、
暮らし辛い部分も確かにあるので、田舎への移住に躊躇するのは当然です。

ただ、もしあなたが今、

毎日1-2時間の通勤を強制されていて、
時には深夜にまでカチカチ、クライアントのしょうもない修正にイライラしながら、「何か」を作り続け、
繁忙期には寝に帰るだけの毎日。それの対価が、手取13-4万。

まさにこんな『以前の私と同じような』境遇であれば、あなたにはフリーランスになることをオススメしたいです。体を壊す前に、デザインが嫌いにならないように。

昨今、効率化が進む中、様々な仕事が自動化されています。ロゴデザインでさえ、格安既製品販売が横行し、AIも参入しています。

この先、自分でなくてもできることを続けていくことは本当にリスクです。

「あなたでないとできない仕事」をぜひ田舎で発揮してみるのはとてもアリな選択です。

田舎はねぇ・・のんびりと暮らせますよぅ。

最低限のスキル・経験を得たらフリーランスへ。

私のような底辺デザイナーは無理に会社にしがみつくと辛いことが多いです。
サクっとスキルを得たらフリーになりましょう。

どのようなスキルがあったら良いのか?考察してみました。こちらの記事もぜひ。↓↓

このブログがきっかけでフリーランス仲間ができたら最高やなぁ。

独立前に習得し忘れたスキルはありませんか?
引越し前にサクッと身につけておきましょう。

自分の足りないスキルだけをピンポイントに習得するならデジハリ・オンラインがおすすめです。

最後まで読んでいただきありがとうございました🐥
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